
オスマン帝国の皇帝の末裔って、今もいるの?と聞かれたら――答えは「Yes」です。結構意外に思う人はいると思います。
でも、もう皇帝としての権威や政治的な力は持っていません。
それでも彼らは、「オスマン家」の血筋として、今なおトルコや世界のあちこちで静かに暮らしているんです。
ここでは、そんな「帝国の影」として生きる末裔たちの今と、歴史の流れを少し整理してみましょう。
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オスマン帝国が滅びても、その王族たちが一人残らず消えたわけではありません。実は、滅亡後もしばらくは“オスマン家”の人々が存在を保ち続けていたんです。ただしその道のりは、なかなか過酷なものでした。
1922年、スルタン制が廃止されたあと、オスマン家の男性はトルコ共和国から国外追放されます。
女性も1924年には追放の対象となり、一家はバラバラにヨーロッパや中東、アメリカなどへ亡命していきました。
まさに600年の王朝が、一夜にして“国を失った一族”に変わった瞬間です。
亡命後、オスマン家の人々は目立たぬように生活するようになります。
中には、フランスで芸術家になった人や、レバノンやアメリカで実業家となった人も。
政治的発言を避けながら、「オスマンの名」を静かに守るという姿勢を続けてきたんです。
「王族」としての地位はなくても、彼らは今でも家系図を厳密に管理していて、誰が当主かもちゃんと決まっています。
現代の「オスマン帝国の皇帝の末裔たち」は、どんなふうに生きているのでしょうか?
2021年まではダンデ・オスマンオール(Dündar Ali Osmanoğlu)氏が家長を務めていました。
彼はシリアのダマスカスで長く暮らし、非常に敬虔なイスラム教徒として知られていました。
その死後、現在の当主とされるのはハルン・オスマンオール(Harun Osmanoğlu)氏で、イスタンブル在住です。
実は、かつて国外追放されたオスマン家ですが、1974年に法改正され、女性→男性の順で帰国が認められたんです。
その結果、今では多くのオスマン家の子孫がトルコ国内で普通に暮らしています。
皇帝のひ孫が公務員だったり、ビジネスパーソンとして働いていたりと、意外と身近な存在になっているんですよ。
オスマン帝国の皇帝の末裔たちは、今も血筋を受け継ぎながら静かに生きています。
彼らの存在は、過去の帝国がただの歴史じゃなく、今なお続く「物語」なんだってことを教えてくれますよね。